カンゾー先生
見てみました。麻生久美子がこの作品で新人女優賞を取ったというのが選んだ決め手でした。それ以外にも監督今村昌平、主演柄本明というのも魅力的。ただ戦時中の医者の話ということで、もしかしたら結構重くて地味なのかなーっていうのが少し不安でした。
この映画を見て初めて知ったけど、当時は肝臓炎が流行ってたんですねえ。特に戦争になると肝臓炎が流行する、って映画の中では言ってました。そして肝臓炎になるとお腹がパンパンに膨れるんですねえ。カンゾー先生はお腹に管をさして溜まった水を出させていました。
肝心の麻生久美子はというと、とりあえず若かったw 計算してみると当時二十歳くらいだもんな。でも彼女の演技ぶりにちょっと怖さを覚えました。役自体は情熱的で、それでいてサバサバしてたんで怖さの原因はそこじゃないと思うんですけど。何ていうんでしょうね、「ああ、役者だなあ」っていう感じですかね。齢弱冠二十歳にしてすでにプロ、みたいな。だってこの方映画にはたくさん出てるけどテレビへの露出度ってかなり低いですよね。「新撰組」見てなかったのが悔やまれる。自分やばいっすね、ツボです。
他には世良正則が死ぬシーンがあって、彼はモルヒネを求めて日本軍の倉庫に強引に侵入しちゃって最期を迎えるんだけど、そのシーンで何故か「時計仕掛けのオレンジ」思い出しました。何かそのシーンほんとに微妙にですけど、邦画っぽくなくて。そのシーンの間ずっとBGMでジャズが流れ続けてるんだわ。それが「時計仕掛けの…」の方の第九とシンクロしてしまったんだろうか。確かに狂気の沙汰でしたね。
後半生きる気力を失いかけたカンゾー先生が、町医者としての自分を取り戻してこのままラストへ向かうのかと思いきや、最期に面白映像が待っていました。これは言わない方がいいのかな。とりあえず、それまでの話を吹き飛ばすような爽やかさでしたね。原作でもそういう感じの文だったんだろうか。
すごく入り込みやすい映画でした。今村監督の作品は初めて見たけど、よかった。「うなぎ」も9.11のやつも見たくなりました。